文京区周辺を悩ませた問題が一変

一生に一度となる多額の買い物である住宅購入、誰もが夢見ているはずだ。現実的ではない、賃貸のほうが後腐れなくて良いと考えている人もいるでしょうが、やはり持ち家があればその分だけ得をするもの。とはいっても、何かしらの問題に巻き込まれたり、起こしてしまったりしたら居づらくなってしまい、持ち家を手放して引っ越しを余儀なくされた、なんて話も耳にする。結局のところはその人の価値観によって持ち家にするか賃貸にするかで変わってきますが、持ち家になるはずだったのに突如として住めませんと言われたらどうだろうか。

当然、非難轟々といった形で誰もが怒号を挙げることになるでしょう。いくら掛けたと思っているんだと、誰もそのお金を返済してくれないのにローンだけ負担し続けなくてはいけないのか、などとなれば怒りしか湧いてこないはずだ。そんな事例が昨年、突如として浮かんできたことを知っている人もいるでしょう。仕事柄、そうしたニュースにもアンテナを立てて見るようにしているのだが、この事件は当事者であればやりきれないとしか言いようが無い事態が起こった。

東京都は文京区、周囲に教育機関がいくつも集まっている日本有数の文教を重んじる街として知られるここに、1つのマンションが建築されます。昨今で言うところの『億ション』と呼ばれるそれを多くの人が、これからの余生を過ごすのにふさわしい物件として購入、資産的な意味で買ってみようと様々な思惑を持っていた。

誰がどんな気持ちを、どんな目的で、どれだけ強く望んだかは人によりけりです。やがてマンションの戸は全て完売し、後は入居開始の日まで待つだけでした。そこに舞い下りてきた問題が、件の億ションが国がしている建築基準に違反しているという疑惑が掛けられたのです。これにより購入者の人生の歯車が狂わされてしまい、とんでもない事態になっていってしまうのだった。

およそ1億円もの家が

問題の争点になったマンションとは、東京都文京区にて2016年2月から入居開始がなされるはずだった『ル・サンク小石川後楽園』という億ションになります。一戸はそのフレーズが指し示すように、1億円を超えることから、破格の値段と言える。購入しているのなんてどうせ資産家、あるいはお金を貯めていた高齢者だろうと言われている。その点については否定するつもりはありません、元々気軽に購入できるものではなかったからだ。

立地条件や周辺地域の治安、そしてマンション設備の豪華さなどをウリにして瞬く間に完売したのです。1億円もするのにと思うかもしれませんが、中にはローンを組んで購入という選択肢もあるので、一概に金持ちだからという理由は当てはまりません。生活水準は平均的な人々よりも高いのはそうだとしても、彼らだって無限にお金があるわけではない。有限な金銭から捻出して、今後引っ越しをすることはない、そう覚悟して越してきたのだ。それこそ入居日を過ぎて引越しをするまでに持ち家を引き払うつもりだという人もいるほどです。

購入者全員が手持ちの資産を叩いてでも住むのを楽しみにしていた億ションでしたが、彼らを待っていたのは業者からの『住めません』という一言だった。

納得するはずもなく

突然の住めませんと告知されて唖然を通り越して理由を求めるのは当然のことでしょう。その理由を紐解いていくと、住めないと判断されたのは建物が建築基準法に基づいた『避難階』についてしかるべき基準を持ってして建築していなかったことが理由だった。ここでいうところの避難階とは、

直接地上へ通じる出入り口のある階

のことを指しています。例え上層階に住んでいても特定の、この避難階にまでたどり着ければ地上へ無事脱出できるのです。

要するに非常時における避難経路のことを指しているのですが、これを用意していなかったというのです。最も重要なはずなのにどうして建築基準に反する建物になってしまったのかについては、地上1階にある大型駐車場がその妨げとなってしまった。この駐車場の出口が建物南面の塀坂に続いていくのだが、その出口に通じる車路がスロープになっていることが重要な部分になる。

一見すると避難階として機能しているように見えなくもありません、実際に建築確認による申請で許可が下りたからこそ、業者が着工したわけですが、それがダメだったと判断されてしまったのです。ダメだとする見解については、

車いすの利用者を想定して考えるなら、基本的日常へ避難できる階は階段や傾斜路を介さない平面であるべき

との考えが濃厚だった。駐車場なのは百歩譲っても、その出口にある『スロープ』が元凶だった。これによりラグジュアルな生活が堪能できるはずだった人々を、天にも昇る心地だったところを一気に地上へ落とされる気分へともたらしてしまったのです。笑い話にすら出来ない展開といっていいでしょう。

この決定によってマンションは人が住んでいい場所ではないと糾弾されてしまい、大半の人が住まいを失う羽目になってしまいます。都議会の発表によれば、スロープを設置するにしてもせめて傾斜路には手すりなどをつけていなければならないと述べた。至極当然な意見ですが、住民になるはずだった人々は納得できるはずもない。

説明会にて

この話題は仕事に関係なく気になっていたので度々メディアも見ていたが、住めなくなった後のマンション住民を対象にした説明会においては怒号飛び交う殺伐とした場と化していた。そこに正義はなく、ただただダメだと言われてしまったからどうしようもないと説明しても、億というお金を出したこと、中には2016年2月に引っ越すことを想定していたのでそれ以降に住まいが無くなってホームレス担ってしまうという人も。

夢の億ション生活が待っていると華やかな生活を期待している人々がほとんどだったので、一転して地獄の苦しみを味わわされる羽目になってしまった。国が決めたこと、それだけで納得しろといっても出来る人など誰もいないでしょう。

一度下りた建築確認の許可は

ここで気になる点がある、先ほども軽く話しましたが『建築確認』という物件を建築する際に必要な手続きを経ているのに、こんなことが起きるのかという点だ。この億ション問題にしても、のちに避難階の問題によって建築確認の申請が取り消される自体になっている。ちなみにこれは異例の事態であって、一度許可されたものが白紙撤回されるというのは、ほとんど見られない稀なケースといえるのです。

提出した役所が確認していなかっただけではないか、なんて言われたらそれまでですが、そうした確認と許可にしても色々しがらみがあるのかもしれません。だがこの問題を介していくと、その大地な建築確認という工程がどんなものなのか気になる人もいるでしょう。そこで今回はこの東京都文京区のル・サンク小石川後楽園と呼ばれた億ションを襲った問題を通して、建築確認の重要性を考えてみよう。